訪問看護ステーションのM&A支援

高まる訪問看護ステーションの需要

・毎年休止や廃止に至る訪問看護ステーションが300以上も出る主な理由は、退職した管理者の代わりを見付けられない、看護職員数の不足、売上未達等である。独立系ステーションはいつ休止・閉鎖するか分からないという認識があり、看護師や看護学生が就職先として選択する妨げになっている(K N)。

出典:厚生労働省『アフターサービス推進室活動報告書

近年、訪問看護ステーションに対する需要はますます高まっています。しかし、そうした背景とは逆行するように赤字で訪問看護ステーションを閉鎖してしまう事業者が増えています。健全な訪問看護ステーションの継続的な発展のためには何が必要なのか、厚生労働省が発表した資料を元に考察していきます。

内閣府が作成した「平成25年版高齢社会白書」によると、2012年には24.1%だった日本の高齢化率(65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合)が2035年には33.4%に上昇すると推計されています。このように高齢者が増えて行く中、医療技術の進歩や平均在院日数の短縮化により、高齢者層を中心に在宅で医療ケアを受ける療養者の数は大幅な増加が見込まれます。厚生労働省の調査によると国民の7割が「自宅で介護を受けたい」と希望しており、訪問看護ステーションの需要は今後ますます増大するものと予想されています。

訪問看護利用者数

出典:厚生労働省『アフターサービス推進室活動報告書

健全な訪問看護ステーションを運営するために必要なこと

訪問看護ステーションが閉鎖してしまう背景には財務的・人的要因が挙げられます。訪問看護ステーションの運営には通常の会社経営と同様に多角的な視点からマネジメントをする必要がありますが、実際には経営ノウハウを持たない看護師が運営者となっているケースが多く、それが赤字の原因にもなっています。

それでは訪問看護ステーションを安定的に経営するためには何が必要なのか、それを解説していきます。

運転資金の確保

新たに訪問看護ステーションを開設するにあたってはまず開業資金と運転資金の二つが必要になってきます。

前者の開業資金については予め用意をされる方が多いですが、特に注意しなければならないのは後者の運転資金になります。何故なら訪問看護サービスに対する報酬はサービスの提供後、約2~3ヶ月後に支払われるため、それまでの人件費やオペレーションコストなどを考慮に入れて当面の支出を補う運転資金を用意する必要があるからです。もし看護師個人が過去の経験を活かすこと以外に特段の事業プランを持たずに訪問看護ステーションを起業した場合にこの運転資金不足が原因で赤字に陥り閉鎖に追い込まれてしまう可能性が高いです。

この当面の運転資金を確保する手段としては銀行などの金融機関から融資を受けることが挙げられますが、会社の経営者と同様に明確な事業プランが無ければ、融資を受けることは非常に困難になります。また、外部から融資を受けることができたとしても、事業の利益率が低ければ借入金の返済が困難となり閉鎖に追い込まれてしまいます。

何故このようなことが起こるかというと、事業者たる看護師の事業への継続性や拡大への関心が薄いということが背景にあります。

それではどのように資金調達をすれば良いのか。それは「日本政策金融公庫」や「独立行政法人福祉医療機構」といった公的な融資制度を活用することです。これらを活用することによって比較的低リスクで資金調達を行うことが出来ますが、こうした制度があまり事業者に認知されていないことから閉鎖に追い込まれてしまう事業者が後を絶ちません。

継続的な人手の確保

また、訪問看護サービスは今後利用者数の大幅な増加が見込まれているにも関わらず慢性的な人手不足に陥っています。

この背景にはそもそも日本全体で看護師が不足している現状がありますが、特に訪問看護では条件面や仕事内容に不安を感じる看護師も多く、ナースセンターやハローワークを利用しても、訪問看護師を採用することが困難となっており、人的要因で閉鎖をしてしまう要因となっています。

厚生労働省の調査によると日本の看護職員数は約154万人ですが、そのうち82%にあたる127万人は病院・診療所に勤務しており、訪問看護ステーションは3万人とわずか2%弱しかいないのが現状です。

看護職員が自ら訪問看護を志望しない理由としては病棟看護とは全く異なる訪問看護に特有の特性が挙げられ、病棟のようなチーム体制や設備が無いため、オンコールや緊急時対応における緊迫感など、精神的・身体的な負担が重いこと、利用者本人やその家族の生活全般に関わることから、利用者・家族を支える全体的なマネジメントやコミュニケーション力を要求されること、そして医師やケアマネジャー・ヘルパーなど多くの関係者と密接に連携する必要があることなどが挙げられます。

このように病棟看護と異なり、看護技術に加えて様々な能力を要求されるサービスであるため、訪問看護師の人材確保は優先事項の高い課題となっています。

それでは訪問看護師の人材確保および定着率向上のために何が必要なのか、それには「徹底した同行研修」と「条件面の整備」「積極的な情報発信」が求められます。

新任の訪問看護師にとって何の研修もないまま現場へ放り込まれることほど不安なものはありません。そのためその不安を解消してあげるため例え看護経験が豊富なベテランであっても「1~2か月間」あるいは「不安感が無くなるまで」同行研修を徹底して行ってあげることが早期の退職を防ぎ定着率の向上に繋がります。

また、休暇をはじめとする労働条件を整備することも大切です。人材の確保・定着率の向上には、休暇の取得に配慮することはもちろん、家庭を持っている看護師に対して家庭や育児と両立できるようシフトを組んであげることや職員の過労を防止するために夜間に緊急対応した翌日は、必ず半日休暇を取得するルールを設けたりといったような心配りが重要です。

そして自分たちの活動を積極的に外部へ発信していくことも重要です。インターネットを活用しブログやホームページを開設したり、職員同士で市や町といったコミュニテイのイベントに参加したり、家族との交流会を開催することも自分たちのことを知ってもらう大切な広報活動になります。

専門家への定期的な相談

多様な利用者のニーズに自分たちの事業所内で対応しようとすると事業規模の拡大や多角化を図る必要性が高まってきます。しかしそういった利用者のニーズに答え、多角的に事業を展開させるためには相応の経営ノウハウが不可欠となり専門的な見地からのサポートが必要となります。

しかし、費用的な問題もあり現状では訪問看護ステーションを運営するにあたって経営コンサルタントや税理士などの専門のアドバイザーを常時活用しているという所はほとんどありません。特に小規模な訪問看護ステーションほど単独でこうした専門のアドバイザーを雇うのは難しい状況にあると言えます。

また、看護師個人が独立した場合、どうしても現場視点に目が行きがちでこうした経営的な視点から訪問看護ステーションの運営を考えるということが欠如しがちな実態もあります。

そうした状況を改善するためにも自治体や商工会議所が主催する経営セミナーや勉強会などに顔を出し、定期的に専門的な見地からアドバイスを貰うと良いでしょう。

適切なマーケティング施策

また、訪問看護ステーションを運営するにあたっては通常の企業活動と同様にマーケティング施策にも力を入れる必要があります。病院や診療所の場合は良い立地に場所を選定し施設や設備を整備すれば、診療の技術や治療の実績等により地域における評価が定まり利用者の認知度も上がっていきます。

しかし、訪問看護ステーションの場合、潜在的な利用者は病院や診療所・自宅におり、自ら訪問看護ステーションに問い合わせをして来ることは少ないのが現状です。従って、事業者は訪問看護ステーションを存続させるためにも自ら橋渡しをしてくれる医師や地域包括ケアセンターの担当者、ケアマネジャー、利用者の家族といった関係者を探し出し、関係性を築くだけではなく、自ら情報発信をしていく必要があります。

地元の広報誌や地域のコミュニティに露出するのはもちろん、インターネットを駆使しリスティング広告を出稿したりブログやツイッター・フェイスブックといったソーシャルネットワーキングサービスを活用するのも自分たちの訪問看護ステーションをプロモーションする効果的なマーケティング施策と言えます。インターネットを利用した場合、無料で出来るプロモーション施策も多くこれからの訪問看護ステーション運営には必須となります。

訪問看護ステーションM&Aの必要性

このように訪問看護ステーションを取り巻く課題はまだまだたくさんあります。

今後は訪問看護ステーション同士の合併や新たに訪問看護ステーションを設立したい病院による訪問看護ステーションの買収が増加していくことが見込まれます。

そこで当協会ではそうした訪問看護ステーションのM&A(合併と買収)ニーズを汲み取り、全国の訪問看護ステーションの充実・健全な発展のため全国の認定支援機関と連携を取りながらM&Aの支援をしております。

今後は訪問看護ステーションを新規に設立する方向けに開業支援セミナーや資金調達の勉強会を開催していきます。

訪問看護ステーションのM&A視線に関するお問い合わせ先はこちらです。

お問い合わせ先:info@kango.or.jp

訪問看護ステーションの売却をお考えの事業者様へ

訪問看護ステーションのM&Aについての記事を作成いたしましたことで、現在たくさんのご相談を頂いております。相談内容の中でも特に「訪問看護ステーションの売却を考えている」という方からのご相談が多く、売却にあたっての注意点を追記いたします。

皆様にとって初めてのM&Aとなりますが、ここでM&Aで注意しておくべきポイントがあります。それは「依頼をするのは1社」ということです。

M&Aは会社同士の結婚のような場です。買収する会社は良い情報を得ようと多くのM&Aアドバイザーと通じております。

そんな中、多くのアドバイザーから同じ案件を紹介されたらどう思いますか?

たらい回しになっている案件、何か必死になっている案件に見えませんか?

買収する会社が一番気になるのは「なぜ会社を売却するのか」です。

何か理由があるはずですが、それが本当の話なのか調べます。多くのアドバイザーから連絡が来るということは買収担当者からすれば「何か裏があるのではないか」と感じる案件になってしまい結果、何ヶ月たっても問い合わせが来ない案件になってしまいます。

一人のアドバイザーから「私を信頼して依頼を頂いた案件があるのですが」と話をされた方が買収担当者は安心します。また、買収する会社からすれば、同じ業界を取り扱っているアドバイザーからの情報を信頼します。

M&Aアドバイザーは良い買収先の会社情報も持ち合わせています。訪問看護ステーションのM&Aをお考えであれば、やはり訪問看護ステーションのM&Aを専門に取り扱っているアドバイザーに依頼した方がスムーズに進むでしょう。

このように、訪問看護ステーションの売却における注意点は「色々な所に見積もりを出すと買い手がつかなくなってしまう可能性がある」ということです。

そもそも、訪問看護ステーションの売却案件の中には売却問題に至るまでの問題点をあぶり出し専門家のアドバイスの元、その対処法を検討するだけで改善が図れるケースがあります。当協会にはそうしたアドバイスが出来る専門のアドバイザーがおりますので、様々な事業者に見積もりを出される前にまずは当協会に現状についてご相談ください。

お問い合わせ先:info@kango.or.jp